●「続・知られざる日豪関係」(620)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 ツラギの通訳兼ガイドの石本は、今はガダルカナルに来ていて住民民政担当官とも言うべき地位について現住民たちに命令を発し監督するのが役割だった。
 だが、それは楽な仕事ではなかった。
 現住民はほとんど文盲であったが、ずるいところもあって命令を読んでやると食事は出るが給料は払ってくれないらしいとすぐに理解した。
 一ヵ月の労働に対して貰えるのは実質が何であれ、”本島の住民たる資格の取得”だけらしいと理解したのである。
 それでも彼らはボツボツと仕事に出はじめたが、その中には監視員が送りこんだ最も勇敢な監視員たちもふくまれていた。