●「続・知られざる日豪関係」(629)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 七月九日、彼はいよいよ移動することを決意した。
 夜の間に、二四人の人夫をつれた一行が米とベンジン、灯油と無線機を島の西岸に運んだ。
 そこであらかじめ隠しておいたランチに積み込み、次の夜、海岸を南へ下って行った。
 一二マイル行くと、ローズはヒラボ川の河口についた。
 ここで品物を下ろし、ランチを帰し、明け方に会うはずの人夫たちを待った。
 まだ暗かったので彼は荷物を椰子の葉の下に隠し、一眠りしようと砂浜の上に横になった。
 そのうちディーゼルエンジンの音で目が覚めたが、見つからずに隠れ場所に行くひまはなかった。
 そこで彼は葉の下に身体を丸くしてようすを窺った。
 近づいてきたのは一隻の日本軍の小船だった。