●「続・知られざる日豪関係」(630)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 甲板には四〇人ばかりの兵士と、例のどこにでも現われる石本が見えた。
 船が一〇〇ヤードまで接近したときには息もつまる感じだった。
 見つかったらおしまいだと観念したが、何ごともなく船は海岸を下っていった。
 それから一時間後に二隻のカヌーで人夫たちが到着したのでローズはヒラボ川を上って行った。
 二マイル進んでさらに一マイル歩くと、新しい隠れ家についた。 
 それは川の土手近くの茂みの中に作られた葉でふいた小屋で、ここならしばらくは安全だろうと思われた。
 ゴールドリッジでも情勢が危険になってきたので、オーストラリアのエリック・フェルトは七月八日、マクファランに対し、「ガダルカナル島のもっとも接近しにくい場所」に後退すること、またやむをえない必要時を除き無線を使用しないよう指令した。