●「続・知られざる日豪関係」(635)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 現住民は決して温かくは迎えなかった。
 村民の大半は丘陵地帯に姿をかくし、キャンプで働くのも食物を提供するのも拒んだ。
 自分たちは何年も税金を払って来たのに、逃げまわっている政庁の世話をするのか、と長老の一人が不平を述べた。
 マクファランは必要なものにはカネを払うと申し出たが、彼らは政庁のカネは価値がないと言った。
 今は日本軍のカネが欲しいというのだ。
 状況は最悪に思われた。
 食物は不足している上に現住民は非友好的だ。
 暗い谷間に釘づけになって、日本軍どころか太陽も見ることができないのである。