●「続・知られざる日豪関係」(638)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
彼らは事務所をこわし、ランジェビアの畑を掘り返して、芋を持ち去った。
ランジェビア自身はきびしく尋問されたが、半ズボンだけの姿だったので、何とかただの現住民になりおおすことができた。
今やブンガナはエジンバラ城ではありえなくなった。
クレメンズは石本がガダルカナルの東部に注意を集中しているので、この高地は危くなったと考えた。
彼はもう一度、より目立たない場所へ退こうと決心した。
七月一九日午前九時、クレメンズたちはさらに高く深い奥地へ向ってわけ入った。
翌日には道もなくなり、一行は急流を腰までつかって川をさかのぼった。
途中で最後の靴をなくし、傷ついて血の流れる足を引きずった。