●「続・知られざる日豪関係」(640)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 ある日彼がヒラボ川上流の葉ぶき小屋にいたところ、ルンガ飛行場で働いていた現住民が一人訪ねてきた。
 その男は日本軍司令官からの伝言として、ローズの居場所を知っていること、今から捕えにいくところであること、捕えたら処刑はしないが手足を切るつもりだと伝えた。
「ピストルを枕の下において眠る決心をしたのはその時だった」とローズはのちに回想している。
 だが翌日になると思い直した。
 一人の友好的な現住民がジャングルを二マイルほど奥に入ったところに、秘密の洞窟があるのを教えてくれたからで、彼はすぐ移動した。
 着いてみると、そこは洞窟というよりは長く張り出した岩棚だったが、隠れるにはぴったりだった。