●「続・知られざる日豪関係」(641)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 木の葉の”ベランダ”を足してローズと二人の人夫と、全財産を置くだけのスペースができた。
 いつもの習慣で、無線機を離れた場所 ── この場合は一マイル離れた小屋にすえつけた。
 小屋の位置はそれを作った四人の現住民しか知らないことを確かめて、彼はあらためてほっとした。
 このころボンベデアではマクファランが新たな恐怖にとらわれていた。
 食物は少なく、人夫たちは逃亡しつつあった。
 日本兵五〇〇人が南岸からやってくるという報告が届いたが、それが本当なら残された退路はないと言える。
 エリック・フェルトが四週間がまんしろと言ってきたときはそんなに長いと思えなかったが、最後の一〇日間は地獄のように辛い日々となった。