●「続・知られざる日豪関係」(642)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


「われわれはみな希望を糧として生きています」と彼は七月二八日クレメンズにあてて書いた。
「週末までに何も起こらなかったら、わたしは脱走するつもりです。
 同じことをあなたにもおすすめします。偵察隊が尾根に近づいているのです。
 わたしはここで、脱出が不可能になるまで待つ気はありません ── いけないかも知れませんが、遅すぎないうちに出ていくつもりです」
 そうは言いながらももちろん彼は留まっていた。
 マクファランが脱出予定日としていた七月三十一日の金曜日は、まもなくすぎ去っていったが、彼は動かなかった。