●「続・知られざる日豪関係」(646)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 そのようすから彼らは待ち続けた瞬間が近づいていると推測したが、もう待てないほど事態は悪化していた。
 マクファランは、今では芋とパウパウというメロンのような果実を食べ、クレメンズはタロ芋とカボチャで食いつないでいた。
 何よりも、現住民の気持が離れつつあったのは致命的だった。
 彼らの支持がなければ沿岸監視員たちは死ぬほかないというのが実態だった。
 今までは何とかやって来たが、現住民の酋長たちは、もし本当に日本軍が島を支配するのなら、敗北者の側につくわけにゆかないという実際的な考えに傾いたのである。