●「続・知られざる日豪関係」(647)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 たとえばタシンボコ村の住民は今や公然たる日本軍支持派で、ヴィサレのまわりの入植者もそうなりそうだった。
 ヒラボに近い洞窟で、ローズは付近の酋長たちが会合を開き、ローズをかかえこむのは決定的に不利だと意見が一致したのを聞いた。
 ローズは結局捕まって、近隣の村落は彼をかくまったという理由で全滅させられるだろうというのだ。
 解決方法は現住民たちの手でローズを片付けて、首を日本軍に差し出すことだ、と彼らは決議した。
 ただ、ペリッセという酋長だけが反対した。
 ローズはライフルを一丁と弾を一〇〇〇発ぐらい持っていて射撃も上手だから、夜に攻撃したとしてもかなりの人数が殺されてしまうだろう。
 それに自分はローズを助けやると約束したので、守るつもりだというのであった。