●「続・知られざる日豪関係」(651)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 それはちょうどサンゴ海をガダルカナルに向って北進している連合艦隊にとってもっとも必要な情報だった。
 この大艦隊は、日本軍の飛行場建設によって生じた南太平洋への危険に対する連合国側の解答であったが、その起源はもっと前にさかのぼる。
 ソロモン群島はこの年二月の段階で合衆国艦隊司令長官アーネスト・キング提督の目をとらえていた。
 彼はこの地域が日本軍の手中に入る脅威を除くことと、アメリカ軍が太平洋を島伝いに一歩ずつ反攻して行くに当って連合軍の最初の目標であるという二点から考察した。
 問題は、連合国がドイツの撃破を優先していたことで、ローズヴェルト大統領も参謀総長ジョージ・マーシャル将軍もヨーロッパから兵力や資材を大幅に割くような大作戦には冷淡だった。