●「続・知られざる日豪関係」(652)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 マーシャルの作戦部長、ドワイト・アイゼンハワー准将は、やむを得ない場合はオーストラリアを孤立無援にしても仕方がないと考えていたようだ。
「馬鹿げている」とキング大将は反論した。
ヒトラーを最初にやっつけるのはもちろん結構だ。
 しかし、太平洋方面の情勢を安定させるために最低限の処置がなされるべきだ。
 日本軍が次々に前進するのを傍観するだけでは困る」と彼は論じた。
 ”アーニー”・キングは容赦ない決定をする人物だったが尊敬もされていた。
 一九四二年春の間、彼は南太平洋における限定攻勢を批判しつづけていたが、六月のミッドウェー海戦におけるアメリカの大勝利がもたらした楽観的な空気を利用してねばり抜いた結果、対日反攻に転じる方針を認めさせた。