●「続・知られざる日豪関係」(656)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
二八日から三一日にかけて、侵攻部隊はフィジー群島のコロ島という小さな島で予行演習をしたが、何もかもちぐはぐでうまく運ばなかった。
ヴァンデグリフトは、”不出来な舞台稽古は初日が上出来”という古い劇場の格言を思い出して自らをなぐさめたのであった。
七月三一日の夕刻、全軍は錨をあげ、直衛任務に当るフレッチャー少将の機動部隊とともにソロモン群島へ向って北西に進路をとった。
天候は曇で、日本の偵察機は海上に巨大な円を描いて拡がった八〇隻以上もの大艦隊を見落してしまった。
またこの好目標を襲ってくる潜水艦もなかった。
海は静かで、航海は全く無事平穏であった。