●「続・知られざる日豪関係」(660)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 クレメンズはマタンガの方が、より効果的に仕事ができるだろうと思ってブチコロから移ってきたのだった。
 だが今はどこにいようと大して違わないように思われた。
 重い気分で彼は八月六日の日記に、「結局何も起こらないのではあるまいか」と書いた。
 同じ日の夕方、あの老金鉱掘りのF・M・キャンベルの若い息子たちパットとジャックはゴールドリッジに来て、飛行場を見下ろした。
 二人は新しいことが起こっていないかとボンベデアからやって来たのだった。
 ところが驚いたことに飛行場一帯は暗かった。
 日本軍は今までとちがって照明をつけた夜間作業をやっていなかったのだ。