●「続・知られざる日豪関係」(674)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 八月七日の朝までにメイスンは再びマラビタ丘で活動を再開していた。
 一一時三〇分頃、彼は飛行機の近づく低い音を耳にした。
 つづいて二七機の双発爆撃機が上空を通りすぎた。
 ツラギとガダルカナルに対するアメリカ軍の上陸への日本軍の最初の対応である。
 メイスンは注意深く飛行機数を数え終ると無線機にかけつけ、緊急発信用のX周波で打電した。
「STOより、爆撃機二七機南東に向う。一一三七」というのが彼の通報だった。
 何隻かの連合国艦船が直接ポール・メイスンの通信をキャッチした。
 彼らはあらかじめX周波について知らされていたので、波長を合わせて待っていたのである。