●「続・知られざる日豪関係」(675)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 だが多くの場合、複雑だがきわめて効率的なリレー送信で通信は流れていた。
 ポート・モレスビー(ブーゲンビル島の監視員を統制する中継本部)は、受信するとすぐタウンズビルへ送り、そこからキャンベラへ流し、さらに真珠湾へ送ったのち太平洋艦隊司令部の大送信所が太平洋全域に伝えるしくみなのである。
 行動中の全艦船はこの経路のどこかで二五分以内に通信を傍受できた。
 ガダルカナル南方の空母部隊はこの通信を受けるとすぐに対応行動をねった。
 ブインまでは三〇〇マイル、日本の爆撃機の巡航速度を一六〇ノットとしてグラマン・ワイルドキャット戦闘機を上陸地点の西側上空にあげて迎撃体勢をとらせるのに二時間の余裕があると計算された。