●「続・知られざる日豪関係」(678)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 自信過剰のラバウル司令部にとっては水を浴びせられたような報告だったろう。
 ガダルカナル沖では輸送船団の荷おろし作業が再開された。
 日暮れまでに一万一〇〇〇人の海兵隊員が上陸を終った。
 上陸すると彼らは西と南西方向に展開したが、実質的な抵抗はほとんどなかった。
 先行偵察隊は椰子の樹林に入って休み、ココナツの実を割って興じていた。
 一方ラバウルでは日中の興奮がすぎて静かな夜を迎えていた。
 ただ兵器庫では翌朝の艦隊攻撃にそなえて爆撃機に魚雷を装備する作業で忙しかった。
 八日午前八時、四四機の雷装爆撃機と戦闘機は離陸を開始した。