●「続・知られざる日豪関係」(680)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 日本軍が喃進して来たとき、彼はヨーロッパ人入植者の家族を疎開させる仕事に没頭した。
 彼らはみな頑固で、三人の女性はきっぱりと疎開を拒んだ。
 カトリックの伝道者たちも同様で、その中には二四人の修道女もふくまれていた。
 アメリカのロードアイランド州プロヴィデンス出身のトム・ウェイド司教は、教会は戦争に超然として、双方から尊敬を受けることが可能だと信じる理想主義者であった。
 チンプツのアルバート・レベル神父のように何の幻想も持たない人もいたが、大多数はウェイド司教にならって残留しようとしていた。
 リードは、この島にいるのは危険だと説得したが、彼らの気持を変えるのはむりだろうと考えていた。