●「続・知られざる日豪関係」(683)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 かくてリードの無線機はフェルとにあててたえず多量の情報、とくに未完成のブカ飛行場についての状況を送りつづけた。
 この飛行場は日本軍が三月に占領して、完成を急いでいたものだった。
 七月一四日、リードは南のメイスンと同じように身をかくし、指示があるまで無線封止するよう通報された。
 メイスンと同じく彼もまた新しいコールサインをもらった。
 それは彼の娘の頭文字で、娘といえばジュディ・エリナー・リードしかいないので、ステーションはJERと呼ばれることになった。
 その後約三週間、彼は用心深く待ちつづけた。