●「続・知られざる日豪関係」(684)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 しかしメイスンと違ってリードは奥地にかくれる必要はなかった。
 そこはすでに十分奥地だったからである。
 彼は四月にポラポラに新しい見張地点を見つけておいた ── 二五〇〇フィートの高さで、雲一つない絶交の場所 ── なのだが彼はそこを使わないでおいた。
 現住民は秘密を長くは守れない性質だし、早くから吹聴する必要がどこにあろう。
 だがこの秘密拠点へ移る時が来た。
 八月八日の朝リードは食料を包み、人夫を整列させ、出発準備を終えてから最後に無線機を分解する前に、もう一度波長を合わせてみようと決めた。