●「続・知られざる日豪関係」(694)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 彼が艦長と一緒にコーヒーを飲みに士官室へ落ちついた丁度その時、伝声管が、「准将、ここに上がって来てはいかがですか。すごい大さわぎですよ」と伝えてきた。


 その時、三川中将は現場に到着していたのだ。
 大胆さと幸運の接合によって、彼の率いる巡洋艦七隻と駆逐艦一隻は、ガダルカナル泊地を防衛する連合軍の何重にも張られた壁を破って進入して来たのである。
 それは狐が鶏小屋に入ったことを意味した。
 九日一時三八分、三川艦隊は魚雷攻撃を開始し、四三分には巡洋艦の全主砲が火蓋を切った。
 それを見すまして水上偵察機が連合軍の艦船を浮きあがらせるための照明弾を投下し、旗艦鳥海はサーチライトを浴びせた。