●「続・知られざる日豪関係」(695)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 真昼のような光りの波に浮び上がったのは、驚きと混乱にあわてふためくアメリカ艦隊の姿だった。
 六分間の砲雷撃で、三川はガダルカナル沖の船団を直衛する連合軍の南方艦隊を潰滅させた。
 巡洋艦シカゴは艦首を吹きとばされ、キャンベラは火焔に包まれて沈んだ。
 それから三川は左方に転針して、ツラギ沖の輸送船を直衛する北方艦隊に向った。
 一時五〇分雷撃と砲撃がはじまり、巡洋艦アストリア、クインシー、ヴィンセンズの三隻が撃滅された。
 戦闘開始から二五分ですべてが終った。
 三川艦隊はサボ島の北を廻ってスロットに引き揚げて行った。
 わずかなかすり傷を受けただけで、日本軍は四隻の米豪巡洋艦を撃沈、五隻を大破させ、護衛艦隊を地獄の底に突き落としたのであった。