●「続・知られざる日豪関係」(696)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 ターナーは当初、夜中かかって積荷を下ろし、午前七時三〇分に出航するつもりでいたが、三川の来襲はこの予定を狂わせてしまった。
 そこで午前中かかって積荷を下ろせるだけ下ろし、午後に入ると荷役を中止して撤退を始めた。
 かくて八日午後七時までに、全艦隊は泊地から姿を消してしまった。
 一八隻の輸送船は生き残った護衛艦に付きそわれていたが、海兵隊用糧食の半分、有刺鉄線や砂袋の全部、やっと岸に届けたブルドーザー一台をのぞく土木工事用器材のいっさいが積み残されていた。
 船団が去って行くのを見送りながら、海兵隊将兵は自分たちが置き去りにされたことを否応なしに覚らされたのである。