「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
彼はやっと自分の名前をつぶやくことができた。
哨兵は顔をやわらげ、煙草とチョコレートをくれた。
たちまち海兵隊の連中がわっと周りをとり囲み、口々に質問を浴びせかけた。
それから彼は師団のD-2(情報部)を訪れ、さらにヴァンデグリフト将軍にも引見された。
将軍はこのどこから見てもきちんと洗練された感じの新来者が気に入り、そくざにクレメンズを情報部員に任命した。
それ以後クレメンズは、偵察員とガイドを海兵隊に提供し、同時に現住民の縁故を通じて情報収集をつづけることになる。