●「続・知られざる日豪関係」(706)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 それ以上のことを望んだのはこっけいなことかもしれないが、やはり失望に変りはなかった。
 クレメンズはもう一つ失望すべき真実を発見した。
 ブンガナから見ると意気軒昂に見えた連合軍も実は孤立した守備隊にすぎないことが分った。
 海空軍の援護、それに予定の過半を占める装備品を失って、ヴァンデグリフト将軍は彼の師団を飛行場守備の任務だけに限定して狭い橋頭堡を固守する体勢に転じていた。
 飛行場の中心部から防衛線の外部まで、どの方向をとっても二・五マイル以上はなく、南側はわずか二、三〇〇ヤードの深さしかなかった。
 頭上には浅いV字編隊を組んだ日本の爆撃機が毎日のように現われて爆弾の雨を降らせた。