●「続・知られざる日豪関係」(712)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 ところが二つのコールサインは混乱のもととなり、結局このステーションはKEN局の名で通用することになった。
 新無電局は早速、存在価値を示した。
 一八日、日本軍は初めてミッドウェー海戦で死んだ爆撃隊指揮官を記念して命名された<ヘンダーソン飛行場>を狙って空襲をかけてきた。
 ブーゲンビルのジャック・リードはいつものように来襲の二時間近く前に警報を送った。
 KEN局は警戒警報を航空司令部と師団司令部に電話で伝達した。
 警戒旗がひるがえり、サイレンが悲しげに鳴りひびき、すべてが時計じかけのようにすすんだ ── 迎撃する戦闘機がいなかったことを除いては。