●「続・知られざる日豪関係」(713)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 日本の爆撃機が爆弾を投下したとき、KEN局のスタッフはヒュー・マッケンジーが一向に退避しようとしないので、びっくりした。
 気がつくと彼は待避壕の入口に立って上空をぼんやりと眺めていた。
 五〇ヤード向うで一人の海兵隊員が爆弾の破片を受けてまっ二つになったときも、彼はそのままの姿勢でいた。
 スタッフはそれを見てすごい指揮官が来たと感歎した。
 奇跡がこれからさきずっと彼を生かしておいてくれればよいが、と彼らは思ったにちがいない。
 その夜警戒していた海兵隊は、全く新しい敵に直面していることを察知した。