●「続・知られざる日豪関係」(714)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 午後一一時を過ぎた頃、海岸沿いの見張部隊は、ひたひたと洗うやわらかい波のリズムが乱れているのに気づいた。
 大波が押し寄せてきた ── 明らかに全速で沖合を東方に走る船によるうねりである。
 どんなによい眼でも視認できなかったが、三時間後に見張員はもう一度同じ音を聞いた ── 今度は船は西へ向っていた。
 日本軍が島の東部に夜間上陸を決行したのは、ほぼ確かと思われた。
 翌八月一九日の早朝、クレメンズは日本軍の上陸地点を探り出すため、現住民のガイドや偵察員を派遣せよと依頼された。