●「続・知られざる日豪関係」(715)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
ダニエル・ピュールは海兵隊の巡視兵に任命され、少しおくれてヤコブ・ヴォーザ巡査部長が配下の現住民偵察隊を連れて出て行った。
ヴォーザは多彩な能力を持つ男だった。
ソロモン群島の基準を越える大男で、群島の各所で何年も巡査をやっていた。
専制的でわがままな性格だったので法を勝手に曲げたという理由で何度か譴責されたことがある。
ごく最近まで彼はマライタ島に駐在していたが、戦争の勃発とともに故郷のガダルカナルに派遣されてきたのだった。
最初クレメンズはそんな激しい性格が現住民チームに与える影響を心配したが、それは根拠のないものだった。