●「続・知られざる日豪関係」(720)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 彼は何とかしばられた縄をゆるめ、つまずきながら這うようにして海兵隊の前哨陣地までの三マイルを帰って来たのだった。
 さすがのヴォーザも出血多量で弱り切って座ることもできないほどであった。
 しかも彼は見たことをすべて報告するまでは、と手当ても一切拒んでいた。
 クレメンズとピュールは彼をジープの後ろに引っぱり上げ、ヴォーザは日本軍の兵力と武器に関する最良の情報をあえぎながら報告した。
 クレメンズはそれを野外電話で司令部にリレーしたが、その間も戦闘は彼らのまわりで続いており、時おり弾丸がジープにとびこんで来るのだった。