「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
ヴォーザはまだ言いたいことがあったが、今度は個人的な事情だった。
彼は助からないと思っていたので妻子にあてた長い伝言を話したのである。
クレメンズは片手でヴォーザの手を握りながら、それを全部書きとめてやった。
遺言を終えるとヴォーザはぐったりし、急いで野戦病院へ運ばれていった。
彼の情報に基づいて海兵隊はイル川を南に渡り、一木支隊の左側面と背後から襲いかかった。
奇襲は完璧だった。
日本軍は気がついてみるとココナツの茂みの中に包囲され、海と海兵隊の主陣地の間で身動きがとれなくなっていた。