●「続・知られざる日豪関係」(722)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
午後五時までに戦いは終った。
海兵隊はイル川の名をまちがえて”テナル川の戦い”と呼んでいるが、それはともかく、ヘンダーソン飛行場を取り返そうとした日本軍の最初の試みは惨めな敗北に終った。
わずか四三名の損害を出しただけで、海兵隊は一木支隊を事実上全滅させたのである。
大佐自身は生き残って、彼の自身過剰に対して支払った代価について考える余裕があった。
それから一木は連隊旗を焼き、腹を切った。
驚いたことにヤコブ・ヴォーザの方は生きのびた。
海兵隊野戦病院の医師たちは、全身の傷を縫い合わせ、新鮮な血液を輸血してやり、一二日後には起き上がれるようになった。