●「続・知られざる日豪関係」(733)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 アメリカ軍はかろうじて島の制空権を確保していたので、敗戦の日本軍が海兵隊陣地に侵入してくるのを抑止することができた。
 しかし日本軍は制海権を握っていたので、アメリカ軍が包囲を打ち破るのに必要な人員を上陸させることができなかった。
 日本軍がヘンダーソン飛行場を潰すか、ニミッツ制海権を奪い取るまでは行きづまりの戦局は動きそうに見えなかった。
 かくて組織された部隊が静止している間に、島の別の側では、はるかに動きの早いしかも個人的な種類の戦争が始まっていた。
 それはきわめて注目すべき一人の男を沿岸監視員の仲間に加えることになった。