●「続・知られざる日豪関係」(735)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”よき羊飼い”
彼は空母エンタープライズの戦闘機パイロットでウィリアム・H・ウォーデンだった。
彼はアメリカ軍上陸の日の七日の空戦で撃墜され、一週間付近の海をゴムボートで漕ぎまわり、最初はルッセル諸島に行ったが、だれにも会えず、それからガダルカナル島に渡って来たのだった。
ウォーデンは何人かの現住民に話しかけてみたが、彼らは英語を話せず、自分が誰かを教えることができなかったのである。
現住民たちは結局アメリカ人だと断定したが、それは彼の話し方や外見からではなく、ウォーデンの黄色いボートにたまたま星のマークが縫いつけてあったからである。
ガダルカナルの現住民にとって、星のついているものはことごとく”アメリカ”だったらしい。