●「続・知られざる日豪関係」(737)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”よき羊飼い”


 クラークはその時ビサレへ向っているところだったが、手紙はリレーされて届き、彼は帰りに寄ると約束した。
 そして彼は約束を守って二一日にジャングルから姿を現わした。
 このときウォーデンは腕が痛むばかりでなく熱も出て、ひどく憂うつになっていた。
 クラーク神父は身長五フィート四インチばかりの柔和だが見ばえのしない三六歳になるオランダ人伝道師だった。
 この島にいるのだからよほど信仰深い人だとは思えたが、医術の方は大したことはあるまいと思われた。
 だが予想は裏切られた。
 タンガラレで七年をすごすうちに、クラークはこの孤立した地域での重要な人物となっていた。
 司祭として彼は約一五〇〇人の現住民たちの霊的要求に応えた。