●「続・知られざる日豪関係」(742)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”よき羊飼い”
そこでクラークは、命令を無視するようにと伝える代わりに、海岸に残って注意していなさい、そうすれば目撃したことを報告することで役に立つかもしれないと指示した。
そのうちにクラークはローズのための情報提供者となっていった。
彼は積極的な抵抗にはくみしなかったが、正確な情報を得るには“群れ”を利用することができ、彼はそれをローズに供給したのである。
同時に神父は、日本軍がタンガラレを占領した場合の実際的対策を考えはじめていた。
とくに三人のヨーロッパ人修道女の安全が気になった。
彼は森の中に秘密のかくれ家を、食料のために秘密の畑と秘密の米倉を、さらに積極的抵抗へ一歩をふみ出すことになるのだが、ライフル銃や猟銃の秘密の隠し場所も用意した。