●「続・知られざる日豪関係」(751)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”よき羊飼い”
戦闘は彼らのいる島の西端近くまで拡大し、丘陵地帯へ行かねばならなくなったのである。
日本軍が背後に迫ったので、彼らはひたすら逃げるしかなかった。
一行は司祭三人、白人修道女四人、現住民修道女二四人、学校の生徒六〇人の大部隊でオーバン司教もふくまれていた。
司教は赤痢にかかって、ほとんど立てないくらいに弱り切っていた。
彼らが落ちついてわずか一日で日本軍がまた接近して来たという噂が拡がった。
手に負えないパニックが起こり、彼らはさらに逃げる準備をはじめた。
クラーク神父は海岸にはどこにも見張りが置いてあり、本当に日本軍が来たなら警報が届くはずだと説いた。