●「続・知られざる日豪関係」(753)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”よき羊飼い”


「ちがう」と司教は答えた。
「わたしは必要ならば攻撃する許可を与えよう」
 クラーク神父にとっては武器を実際行動のために持つ許可を司教から得るのが何より重要であった。
 それは将来のあらゆる可能性に対して門戸を開放したことになる。
 いま羊飼いは狼を打つ棍棒を手にすることができたわけである。
 もっとも武器の使用はさしあたり不要だった。
 彼の思った通り、近くに日本軍はいなかった。
 彼は九月六日の夕方遅く帰ってきて、「万事良好」と報告したので、タンガラレは静かな夜を取り戻すことができた。