「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”よき羊飼い”
しかし翌七日の昼頃、噂がふたたび拡がり、神父ももはやこの恐怖にかられた人々をなだめることはできないと悟った。
これを解決するには、誰かが山を越えてアメリカ軍の陣地に行き、ちゃんとした疎開の打合わせをするしかなかった。
そしてこのための旅行はビル・ウォーデンを帰還させるよい機会でもあった。
ウォーデンは今や、熱帯での快適な生活を楽しむことに罪悪感を抱きはじめていた。
あとはどの伝道者が行くかだったが、当然のようにクラーク神父が選ばれた。
九月八日いよいよ彼らは出発した。