●「続・知られざる日豪関係」(782)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”新しい目と耳”
つづいて別の現住民が現われ、日本軍の偵察隊が監視員たちを探すために活動を始めていると伝えてきた。
その男は噂でないことを示すために、上陸部隊の兵士がくれた日本製の煙草を一本とり出してみせた。
ぐずぐずしてはおられない。
メイスン、オットン、ウィグリーの三人は急いで身の回りのものをまとめると、奥地へ向った。
とりあえず落ちついたのはバルーゴという村の近くであった。
ここはデウロ山脈とクラウン・プリンス山脈をつなぐ鞍部に位置しており、南の方はショートランド泊地をよく見渡すことができ、東の方はブーゲンビル海峡からチョイセル島まで見通せた。
不利な点は、山が真正面にあって盲点を形成し、ラバウルから南下してくる飛行機が見えにくいことであった。