●「続・知られざる日豪関係」(787)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”新しい目と耳”


 彼はすぐにマッケンジーの沿岸監視網拡大計画を引き受け、それは二、三日後、群島行政長官マーチャントとヴァンデグリフト将軍の情報将校エドマンド・J・バックリー中佐との会談で正式に承認された。
 人選にも困難はなかった。
 以前にガダルカナルで地区副行政官をしていたヘンリー・ジョスリンは、ツラギ上陸の時、海兵隊のガイドをつとめた元気で勇敢な男だったが、まっさきにベララベラ島行きを志願した。
 彼はその島を訪れたことはなかったが、ソロモン群島にはよく通じ、現住民との付き合いにも慣れていた。
 マッケンジーは彼のような人物を得たことを幸運だと思った。