●「続・知られざる日豪関係」(789)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”新しい目と耳”


「ノー、サー」少将はあっさりと断ったが、少将という高級士官から”サー”をつけて呼ばれたのは初めてだであったから、この会話はブルックスバンクにとって記憶すべきできごとになった。
 マッケーンはさらに、その理由として
「そんなことをすればわたしの飛行機と乗りこんだ監視員たちがゼロ戦の餌食になるだけのことです」と説明した。
 ブルックスバンクは今度はゴムリー提督に潜水艦を使わせてくれるよう頼んでみた。
 だがこれもむずかしそうだった。
 潜水艦の連中は伝統的に敵の水上艦船を沈めるという本来の使命以外に使われるのを好まない傾向があった。