「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”新しい目と耳”
しかし二人の助手はいずれも手ごわい男たちであった。
大男で神話的風貌の持主シートンは、ふだんは温和そのものだったが、一度怒るとすさまじい圧倒的な激情を示した。
彼ほど病人や怪我人をやさしく世話する男はいなかった。
この変りやすい性格では、二人きりになったとき何が起こるか知れないとウォデルは危ぶんだ。
しかし心配する必要はなかった。
最初から彼らはぴったりと気が合った。
一〇月六日、乗組員たちがいぶかる中を、二人の監視員の荷物がグランパス号に積みこまれた。