●「続・知られざる日豪関係」(793)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”新しい目と耳”
アメリカの潜水艦にオーストラリア人が乗りこむことで起こるかも知れない緊張を避けるため、監視員たちはアメリカ水兵の制服をつけていた。
ウォデルがすばらしい思いつきを発見したのはこの時だった。
どうせアメリカ水兵の服を着るのなら、それらしく振る舞うべきだと考えて、彼らは街へくり出して最後の愉快な夕べをすごし、本物の水兵らしい様子で、よろよろしながら乗船したのだった。
艦内では連合軍情報部長のオーストラリア陸軍C・G・ロバーツ大佐が待っていた。
彼は最終的な指令をわたすために来ていたのだが、”陛下の重要な任務”をこの酔っぱらいにまかせていいのかと迷った風に見えた。
そのせいか説明はきわめてきびしい空気の中で伝達された。