●「続・知られざる日豪関係」(795)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”新しい目と耳”
時々彼は一九世紀のドイツ人や一〇〇年前のフリゲート艦々長がおよその見当で作った海図を引っぱり出して照合を試みた。
しかし厚く茂ったジャングルの海岸線や、眼前に伸びている固い暗礁に合致するようなものはなかった。
彼はジョスリンとキーナンを潜望鏡の傍へ呼んだが、やはり何の助けにもならなかった。
二人ともこの島ははじめてだったのだ。
この場所を本当によく知っているのはカーデン・シートンだけで、彼は一同に対して、この暗礁には切れ目があるのだとうけあったが、それがどこかはっきり突きとめることはできなかった。