●「続・知られざる日豪関係」(796)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”新しい目と耳”


 グランパス号は浜から二マイル ── クレイグが古い海図で許されるぎりぎりの地点まで近づいたが、終日潜望鏡をのぞいてもやはり手がかりは見つからなかった。
 うかつな話だが午後三時頃になって彼らは島の沖合にいるのはグランパス号だけでないのに気づいた。
 北へ数マイルのあたりで日本の駆逐艦がやはり沿岸を調査していたのだ!
 クレイグ中佐はこの新参者に向き直ったが、結局攻撃はあきらめた。
 ジョスリンやキーナンの到着をわざわざ宣伝するようなものだったからである。
 六時五〇分、駆逐艦が北西に去ったので、グランパス号も浮上して岸に引き返した。
 そしてクレイグと監視員たちがどうするかを話しあっている間に、発電機を充電した。