●「続・知られざる日豪関係」(797)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”新しい目と耳”
日本軍は彼らがそこにいたのに気づいたろうか。
われわれを探しているのではないか。
いろいろ迷ったすえ、結局は上陸すべきだとなった。
もし駆逐艦が彼らの来ているのを知っていたとしたら、このあたりをうろついているにちがいない。
そしてもし”歓迎委員会”を上陸させているとするならば、ジョスリンとキーナンは早く上陸するほど、彼らにぶつからないですむ公算も強くなるだろう。
午前一時二九分、グランパスは再び引き返して元ムンディムンディ農園の南側一マイルの沖合に浮上した。
月はなかったが、熱帯の夜空には満天の星がきらめいていた。