●「続・知られざる日豪関係」(799)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”新しい目と耳”


 オールを握って彼は水をかきわけて進み、一時四二分”小艦隊”は発進した。
 星明りをたよりに、ジョスリンは苦労しながら岸へ向った。
 司令塔からクレイグ中佐が黙って手を振り別れをつげると、グランパス号はすばやく闇の中に消えていった。
 一方、ジョスリンは注意深くオールを動かしながら岸へ近づいた。
 二〇〇〇ポンドもの装備を積んだ不格好なボートをたった一人の漕ぎ手でひっぱるのはなかなかの大仕事だった。
 しかし暗礁についたときはもう午前四時になっていた。