●「続・知られざる日豪関係」(806)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”新しい目と耳”
知っている限りであの手この手をつくしてみたが、さっぱり利き目がない。
チョイセルに派遣されたニック・ウォデルとカーデン・シートンのチームも、彼らなりの挫折感を味わっていた。
最初の計画では、ジョスリンとキートンをベララベラに上陸させた次の夜、彼らを上陸させるはずで、はじめは万事うまくいっていた。
グランパスは一〇月一四日、ナシプシ岬を潜望鏡で調査したのち、夕方バッテリーを充電して、浮上に移ろうとしていた。
一一時一五分、いよいよ浮上し上陸が迫った時、艦隊司令部から緊急通信が入った。
“東京急行”の大部隊が高速でスロットを下りつつあり、まもなくニュージョージア島北岸ビスビス岬沖に達する見込み、というのだ。