●「続・知られざる日豪関係」(812)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”新しい目と耳”


 もっと重大な問題は、無線送信を始めるべきかどうかということだった。
 頭上には、日本機の大編隊が小さな銀色の翼を光らせて、ガダルカナルに向けスロットを下って行くのが見えた。
 何か大きな作戦が今にも始まろうとしているように見えた。
 しかし、危険な海岸にむき出しのままで態勢がととのわないうちに傍受され、探し出されては逆効果にもなる。
 いろいろ考えたすえ、彼らは二、三日待って、もっと奥地に監視員を出すことに決めた。
 一方、ベララベラに行ったジョスリンとキーナンは、チョイセルのようにぜいたくな選択に迷うどころではなかった。